ニッチなご当地バターが、検索の仕組みの弱点を次々あぶり出してくれた
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買い物比較ツールに、あるリクエストが届きました。ご当地メーカーのバターを載せてほしい、というものです。定番商品はいくつも載せていますし、バターが一種類増えるだけ。正直、すぐ終わる作業だと思っていました。
終わりませんでした。この一品のせいで、ツールの検索の仕組みに、商品ごとの例外を置けるよう手を入れることになりました。
検索したら、業務用とふるさと納税の壁でした
いつもどおり商品を登録して検索をかけると、出てきたのは業務用の巨大なバターと、ふるさと納税の返礼品ばかり。肝心の「普通に一個だけ買えるバター」が、結果のどこにもいません。
考えてみれば当然で、このバターは通販での取り扱い自体が多くありませんでした。数少ない取り扱いが業務用のまとめ売りか、返礼品としての出品に偏っていて、キーワードで検索するとそちらが束になって上位を占領します。定番商品なら出品が山ほどあるから多少のノイズは埋もれてくれますが、ニッチ商品はノイズの方が本体より多いのです。
通販サイトごとに、事情がまるで違います
もっと厄介だったのは、通販サイトごとに「出てこない理由」が違ったことです。
あるサイトでは、キーワードに反応する返礼品と業務用が多すぎるのが問題でした。こちらは除外ワードを設定すれば、なんとか本命が顔を出します。
ところが別のサイトでは、同じキーワードで検索しても本命がそもそも出てきません。いろいろ試してようやく分かったのは、そのサイトでは特定の店を名指しで絞り込まないと、目当ての商品にたどり着けないということでした。同じ商品を探しているのに、サイトが違うだけで攻め方を丸ごと変えないといけません。これは想定していませんでした。
前日の鶏むね肉(第104回)では「共通の番号がない」ことが課題でしたが、今回は探し方そのものをサイトごとに変える必要がありました。同じ「いつもの検索が通じない」でも、通じない理由が違うのです。
商品別の「特別設定」を新設しました
それまでのツールは、どの商品もぜんぶ同じ手順で検索していました。商品のバーコード番号(JANコード)を手がかりに探して、単価の安い順に並べます。定番商品ならそれで十分でした。
でも今回ので観念して、商品ごとに検索のやり方を変えられる特別設定を新設しました。この商品はこの除外ワードを付けます。この商品はこのサイトではこの店だけを見ます。この商品は検索語自体をサイトごとに変えます。そういう指定を、商品一つひとつに書き添えられるようにしました。
言葉にすると地味ですが、ツールの中身としてはけっこうな改造でした。共通の仕組みに「例外の置き場所」を作る作業で、どこまでを共通に残し、どこからを例外にするかの線引きに一番悩みました。改造の設計図はAIが描き、例外のルールづくりが私の持ち場になりました。
「在庫あり」フィルタの罠
改造の途中で、もうひとつ罠を見つけました。
検索には「在庫あり」の商品だけに絞るフィルタを最初から付けていました。売り切れ品が混ざると比較の意味がないからで、これ自体は正しい設定のはずでした。
ところが一部の店は、在庫の情報をきちんと登録していないようです。すると「在庫あり」で絞った瞬間、実際には在庫がある目当ての商品まで、まとめて検索結果から消えてしまいます。良かれと思ったフィルタが、本命を消す犯人でした。
これも特別設定の仲間入りをさせて、その商品に限ってはフィルタを切れるようにしました。ずっと入れっぱなしだったフィルタを疑う日が来るとは思いませんでした。
ニッチ商品は、仕組みの試金石
今回のバターは、結果としてツールの弱点を次々あぶり出してくれました。ノイズに埋もれる問題、サイトごとの事情の違い、フィルタの副作用。定番商品ばかり扱っていた頃には、どれも見えていませんでした。
定番商品は、仕組みが雑でもそれなりに動いてしまいます。ニッチ商品は、仕組みの粗をひとつも見逃してくれません。だからこそ、リクエストでニッチな商品が来るのは、実はありがたいことなのかもしれません。
苦労はしましたが、ようやくあのバターがツールの検索結果に表示されたときは、素直にうれしかったです。リクエストをくれた方に、ちゃんと届いていますように。
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