複利の力:10年・20年・30年でどれだけ差がつくか
「複利は人類最大の発明」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、長期投資において複利の考え方はとても大切です。
複利とは、運用で得た利益を再投資することで、利益がさらに利益を生む仕組みです。
短期ではその効果を実感しにくいものですが、10年、20年、30年と時間が経つほど、複利の力は大きくなります。
この記事では、複利の仕組みと、長期投資でどれだけ差がつくかを具体的な数字で見ていきます。
単利と複利の違い
まず、単利と複利の違いを整理します。
- 単利:元本に対してのみ利益がつく。利益を再投資しない
- 複利:元本と利益を合わせた金額に対して、さらに利益がつく。利益を再投資する
たとえば、100万円を年利5%で運用した場合を比べます。
単利の場合、毎年5万円ずつ増えます。
10年後は150万円です。
複利の場合、1年目の利益は5万円ですが、2年目は105万円に対して5%がつきます。
そのため、2年目の利益は5.25万円です。
3年目以降も、増えた金額に対して利益がついていきます。
年5%で複利運用できたと仮定すると、10年後は約163万円になります。
10年では、単利150万円に対して、複利は約163万円です。
差は約13万円です。
まだ小さく見えるかもしれません。
しかし、20年後は単利200万円に対して、複利は約265万円。
30年後は単利250万円に対して、複利は約432万円です。
時間が経つほど、差は大きく広がります。
これが複利の力です。
毎月3万円を積み立てた場合
もう少し現実的な例として、毎月3万円を積み立てた場合を見てみます。ここでは「同じ積立・同じ年率でも、利益を再投資する複利と、再投資しない単利でどれだけ差がつくか」に注目します(積立額や想定年率を変えたときの最終評価額の一覧は 毎月いくら×20年で、いくらになるのか で詳しく試算しています)。
毎月3万円を積み立て、年5%で運用できたと仮定した場合の目安は、次の通りです。
ここでは、単利は「各月の積立額に、積み立てていた期間に応じて年5%の利益がつく」として計算し、複利は「利益も再投資される」として計算しています。いずれも月末に積み立て、月利は年5%を12で割った値とし、税金・手数料は考慮していません(金額は1万円未満を四捨五入)。
| 期間 | 元本(積立額の合計) | 単利の目安 | 複利の目安 | 差額 |
|---|---|---|---|---|
| 10年 | 360万円 | 約449万円 | 約466万円 | 約17万円 |
| 20年 | 720万円 | 約1,079万円 | 約1,233万円 | 約155万円 |
| 30年 | 1,080万円 | 約1,888万円 | 約2,497万円 | 約609万円 |
10年では、単利と複利の差は約17万円です。
まだ大きな差には見えないかもしれません。
しかし、20年では約155万円、30年では約609万円の差になります。
また、30年続けた場合、複利の目安は約2,497万円です。
元本1,080万円に対して、利益の目安は約1,417万円になります。
30年続けると、元本より利益の方が大きくなる計算です。
これが「時間を味方につける」という意味です。
ただし、年5%はあくまでシミュレーション上の仮定です。
実際の投資では、値上がりする年もあれば、値下がりする年もあります。
72の法則
複利で資産が2倍になるまでの年数を、簡単に計算する方法があります。
それが「72の法則」です。
72 ÷ 年利(%) = 資産が2倍になるおおよその年数
たとえば、年利5%なら、
72 ÷ 5 = 約14.4年
となります。
つまり、年5%で複利運用できた場合、約14年で資産が2倍になる計算です。
年利3%なら約24年、年利7%なら約10年です。
あくまで概算ですが、複利の効果を直感的に理解するのに便利な考え方です。
複利を活かすために大切なこと
複利の効果を活かすには、次の3つが大切です。
1. 早く始める
複利は、時間が長いほど効果が大きくなります。
たとえば同じ65歳まで毎月同じ金額を積み立てる場合、25歳から始める人は35歳から始める人より積立期間が10年長くなります。この差には、運用益だけでなく10年分の追加の積立元本も含まれます。
投資できる準備が整っているなら、早く始めるほど複利の時間を長く使えます。
ただし、生活防衛資金がない状態で無理に投資を始める必要はありません。
まずは生活費や急な出費に備えるお金を確保し、そのうえで長期投資を始めるのが安心です。
2. 続けられる形にする
複利の効果は、後半になるほど大きくなりやすい傾向があります。
しかし、相場が下がったときに慌てて売ってしまうと、長期で回復を待つ機会を失う場合があります。
長期資産形成では、下落局面でも積立を続け、無理のない金額で持ち続けることが大切です。
もちろん、生活費まで投資に回してしまっている場合は、続けること自体が難しくなります。
途中でやめないためにも、最初から無理のない金額で始めることが重要です。
3. コストを抑える
信託報酬などのコストは、毎年少しずつ運用成果を削ります。
たとえば、年5%のリターンがあっても、信託報酬が年1%なら、コスト控除後のリターンは単純に考えると年4%程度になります。
一方、信託報酬が年0.1%なら、コスト控除後は年4.9%程度です。
1年だけ見ると小さな差に見えます。
しかし、30年のような長期間では、この差が大きな金額差になります。
市場の指数に連動することを目指す投資信託(インデックスファンド)のうち、信託報酬などのコストが低いものを選ぶことは、複利の効果を目減りさせにくくする方法の一つです。
複利の注意点
複利の効果は強力ですが、万能ではありません。
注意したい点は次の通りです。
- 分配金を受け取って使ってしまうと、再投資されず複利効果が弱くなる
- 頻繁に売買すると、税金や手数料で再投資に回る金額が減る場合がある
- 高コストの商品は、毎年のリターンを削る
- 株式市場は毎年一定のリターンを生むわけではない
- 過去の平均リターンは、将来のリターンを保証しない
株式市場では、リーマン・ショックやコロナ・ショックのように、短期間で大きく下落した局面もあります。
下落したときにどうするかは、お金を使う時期、生活資金の余裕、投資の目的、リスク許容度によって変わります。これらに変化がなく、その商品が目的に合っているなら、積立を続けるという考え方があります。逆に家計が苦しいときは、金額を下げる・いったん止めるのも選択肢です。
また、インフレを考慮すると、運用成果の金額が増えていても、そのまま購買力の増加になるとは限りません。
まとめ
複利とは、運用益を再投資することで、利益がさらに利益を生む仕組みです。
複利は投資期間が長いほど効果が出ます。複利の効果を活かすには、運用できる期間を長くとること、無理のない金額にして続けられる形にすること、コストを抑えることが大切です。
長期の資産形成では、低コストの株式インデックスファンドを、NISAやiDeCoも活用しながら、長期間持ち続けるのが基本です。
※本記事の数値は仮定に基づくシミュレーションであり、将来のリターンを保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。
制度や商品は変わる可能性があります。最新情報は金融庁、各制度や商品の公式サイトで確認してください。
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楽天証券で口座開設(楽天経済圏と相性がよい) SBI証券で口座開設(三井住友カード・Vポイント経済圏と相性がよい)よくある質問
- Q1. 単利と複利は何が違いますか?
- 単利は元本に対してのみ利益がつき、利益を再投資しません。複利は元本と利益を合わせた金額に対してさらに利益がつき、利益を再投資します。そのため、時間が経つほど複利のほうが差が大きく広がります。
- Q2. 複利の効果はすぐに実感できますか?
- 短期では実感しにくいものです。記事の例では、毎月3万円を年5%で積み立てた場合、10年時点の単利と複利の差は約17万円ですが、20年では約155万円、30年では約609万円と、時間が経つほど差が大きく広がります。
- Q3. 72の法則とは何ですか?
- 複利で資産が2倍になるまでのおおよその年数を、72÷年利(%)で概算する考え方です。年利5%なら約14.4年、年利3%なら約24年、年利7%なら約10年が目安になります。あくまで概算ですが、複利の効果を直感的に理解するのに便利です。
- Q4. シミュレーションどおりの運用結果になりますか?
- いいえ。記事の年5%はシミュレーション上の仮定で、実際の投資では値上がりする年もあれば値下がりする年もあります。株式市場は毎年一定のリターンを生むわけではなく、過去の平均リターンは将来のリターンを保証しません。投資には元本割れのリスクがあります。
- Q5. 複利を活かすために大切なことは何ですか?
- 運用できる期間を長くとること、無理のない金額で続けられるようにすること、コストを抑えることの3つです。複利は時間が長いほど効果が大きくなります。下落局面で続けるか金額を見直すかは、家計の状況とリスク許容度に合わせて判断してください。
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