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自動化が「静かに」止まっていた話

公開: 2026-07-10 · #84 / 最終更新: 2026-07-16 個人開発自動化失敗談運用

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いつも通り、のはずだった

このサイトの裏側では、いくつかの作業をクラウドの定期実行に任せています。制作記の毎日の公開、おでかけスポットの自動探索、SNS投稿の下書き作り。決まった曜日、決まった時刻に勝手に動いてくれる、私にとってはありがたい働き者たちです。

一度組んでしまえば、あとは放っておいても回る。そう思っていましたし、実際ずっと回っていました。だから私は、動いているかどうかをいちいち確かめる習慣を持っていませんでした。

「あれ、更新されてない?」

違和感の入り口は小さなものでした。出ているはずの記事が出ていない気がする。増えているはずのスポットが、前に見たときのままな気がする。「気がする」止まりなのが我ながら情けないのですが、自動化を信じきっていると、疑うという発想自体が出てこないのです。

重い腰を上げて実行履歴を確かめてみて、青ざめました。ある時期を境に、定期実行が全部空振りしていたのです。

エラーではなく「空振り」だった

ここが今回の話の肝だと思います。処理は「失敗」していませんでした。時刻になればちゃんと起動して、何もせず、涼しい顔で正常終了していたのです。

エラーで止まってくれれば、まだ気づきようがあります。赤い警告が出れば、さすがの私でも見に行きます。でも「実行はされるが何もしない」は、外から見ると平常運転と区別がつきません。動いたという記録だけが淡々と積み上がっていきます。動いたふりが一番たちが悪い、と心の底から思いました。

原因は実行環境側の仕様変更

調べてみると、原因は私のミスというより、実行環境側の仕様変更でした。使うリポジトリ、つまりデータの保存場所を最初に宣言していない自動処理は、受け付けてもらえなくなっていたのです。

以前は宣言なしでも動いていました。だから私の自動処理たちは宣言を持っていませんでした。仕様が変わった瞬間から、彼らは全員「どこで作業すればいいのか分からないまま出勤して、そのまま帰る」状態になっていたわけです。そう考えると少し可哀想でもあります。

幸い、直し方は分かりやすいものでした。気づいた日のうちに、自動処理の設定ひとつひとつに保存場所の宣言を書き足していき、その日のうちに復旧できました。壊れていた期間の長さに比べて、修理そのものは呆気ないものでした。

「止まる」より「気づけない」が怖い

復旧して落ち着いてから、じわじわ怖くなってきました。怖いのは止まったことではありません。止まったのに気づけなかったことです。

もし記事の公開やスポットの探索ではなく、もっと大事な処理だったら。もし私が違和感を「気のせいか」で流していたら。空振りは今も続いていたはずです。自動化は、動いている間は本当に頼もしい。でも黙って止まる。文句も言わずに止まる。人間なら「今日は作業できませんでした」と言ってくれるところを、機械は言ってくれません。

見張り番は、別の土台に置く

今回いちばん堪えたのは、見張り役ならもう用意してあった、ということです。

ひと月ほど前に、処理の結果を毎回確かめて、おかしければ知らせてくれる仕組みを組んでいました。「ちゃんと動いたか」の確認も仕組みにしないといけない、という教訓なら、私はとっくに学んで、手も打っていたのです。それでも九日間、何も知らされませんでした。

理由は、あとから考えれば当たり前でした。その見張り役も、働き者たちとまったく同じクラウドの定期実行で動かしていました。だから全部が止まったとき、見張り役も一緒に、同じように静かに止まったのです。誰も何も言ってこないのは平常運転だからではなく、言う係も倒れていたからでした。

見張りが見張る相手と運命を共にするなら、それは見張りではありません。今回の本当の学びはそこで、「確認を仕組みにする」の先に「その仕組みを、見張る相手とは別の土台に置く」があります。だから見張り役だけは、働き者たちとは違う場所へ移すことにしました。全員が倒れても、それだけは生き残って知らせてくれるように。

自動化は魔法ではなくて、静かに壊れるただの仕組みです。そのことを、動いたふりの実行記録の山から教わりました。


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