「あの遊び場、載っていないよ」——地図の穴は、集め方の穴だった
📌 記事の取り扱いについて(公開当時の内容を含みます — タップで詳細)
本記事は公開当時の体験・気づきをまとめたものです。現在のツール数・プラン数・対象年齢・記事数・仕様とは異なる場合があります。最新の内容は各ツールページをご確認ください。ツールや外部サービスの仕様・料金は変更されることがあるため、利用前には各公式情報も併せてご確認ください。記載に誤りを見つけられた場合はお問い合わせフォームよりご連絡いただけると助かります。
一通の指摘から始まりました
「あの有名な室内遊び場が、子連れ地図に入っていないよ」。そんな指摘をもらいました。
言われて確認してみると、たしかに載っていません。子連れならたいてい名前を知っているような、あの遊び場がなのです。
最初は「登録漏れか、うっかりだな」くらいに思っていました。1件足せば済む話だと。
ところが調べていくうちに、これは「うっかり」ではないことが分かってきました。もっと根が深い、仕組みそのものの問題でした。
「載っていない」ではなく「載りようがない」
私の子連れ地図は、スポット集めをOSM(オープンストリートマップ)という、みんなで作る地図データに頼っていました。世界中の有志が施設を登録してくれる、善意で成り立つすばらしい仕組みです。
ただし、そこには当たり前の前提があります。誰かが登録してくれた施設しか、データには存在しないということです。
つまり、OSMに登録されていない施設は、私の地図には載りようがありません。どれだけ有名でも、どれだけ人気でも、誰も登録していなければ永久に漏れ続けます。
指摘された遊び場は、まさにこのパターンでした。載せ忘れたのではありません。私の集め方では、そもそも拾えない場所にあったのです。
これに気づいたときは、けっこうへこみました。「幅広く載せています」という顔をしながら、実際には「誰かが登録してくれた分だけ載せています」だったわけです。
OSMが悪いのではなく、頼り切った私が悪いのです
誤解のないように書いておくと、OSMを責める気はまったくありません。あれだけのデータが無償で公開されていること自体、ありがたい話です。私の地図がここまで育ったのも、間違いなくOSMのおかげです。
問題は、OSMを「材料のひとつ」ではなく「唯一の供給源」にしてしまった、私の設計のほうです。
集まってくるデータをただ待ちます。集まらなかったものは、存在しないのと同じ扱いになります。この受け身の構造こそが欠陥でした。
有名な施設ほど「誰かがもう登録しているだろう」と思いがちですが、現実はそうでもありません。みんながそう思った結果、誰も登録していない、ということが普通に起きます。
発想を逆転してみました
では、どうするか。考えた末に、発想を逆にすることにしました。
チェーン展開している施設については、公式サイトの店舗一覧を「正」とします。つまり、誰かの登録を待つのではなく、運営元が自分で公開している一次情報を、こちらから取りに行きます。
公式の店舗一覧なら、開店・閉店も運営元が更新してくれます。これほど確かな情報源はありません。最初からここを見に行けばよかったのです。
あわせて、チェーンではないけれど「どうしても載せたい」という施設のために、必須リストで管理する仕組みも作りました。指摘をもらったような有名どころは、ここに入れておけばもう漏れません。
仕組みの実装はAI任せにして、私が決めたのは「どの公式一覧を正とするか」だけです。
数百店が、一気に全国へ
この仕組みを動かした結果は、想像以上でした。
人気チェーンの店舗が、数百店単位でまとめて地図に加わりました。それも一部の地域ではなく、全国にです。
今までのやり方なら、この数百店は「誰かがOSMに登録してくれるのを待つ」しかなかった分です。それが公式一覧を読みに行くだけで、一度に揃ってしまいました。
待っていた時間はなんだったのか、という気持ちと、これでやっと胸を張れる、という気持ちが半々でした。
待つ収集から、取りに行く収集へ
今回の学びを一言でまとめるなら、これに尽きます。集まるのを待つのではなく、一次情報を取りに行きます。
みんなで作るデータは、土台としては本当に頼もしいです。でも「幅広く載せる」と言うなら、そこに頼り切ってはいけませんでした。足りない部分は、公式という一次情報で自分から埋めに行きます。その組み合わせでようやく、人に薦められる地図になります。
あの指摘には頭が上がりません。もらった一言がなければ、私はこの穴に気づかないまま、待ち続けていたと思います。
← 他の制作記を見る | トップ | お問い合わせ